「もうロリコンでいいや」タグと思ったこと

D
なんとも自然なモーション。
ソフトの進化もすごいがそれを操る職人の技術もすごい。


人間の体はたくさんの関節があるが、それぞれ機械的に向きを変えたり回転したりしているわけではない。基本的には等速ではないし、直線でもない。加速・減速しながら複雑な軌跡を描いて人間の体は動く。質量を持つから一部分の動作は他の部分へ影響を及ぼす。実にややこしい。
全身運動のモーションを手作業で作るとなると、全てのフレームについてほぼ全ての関節を細かく加減速させつつ回転させて動かさないといけない。上の動画を作るのにいったいどれほどの手間隙、時間もさるものながら、人の動きをきちんと考えて動かすその労力がかかったのやら。想像すら難しいレベルだ。
これは一応プリキュアのEDがモトネタになっているから、モーショントレースということになる。モトネタのほうはモーションキャプチャーだろう。


さて、MMDを使いこなす職人もとんでもない進化をしているが、MMDをいじって動画を作れる人というのも増えている。つまり裾野が広がっている。んでも、いつかこのレベルのモーショントレースをできる人がうじゃうじゃになるかというと、とてもそうは思えない。とんがった技術は広まらない。
モーションキャプチャーはすばらしい技術だが、それが一般的に使えるようになる可能性は低い。自分がその動きをしないといけなくて、できる人が限られるから。
なによりコンピュータグラフィックスの真髄は無から有を生み出すことであり、人の想像力が形をなすところだ。
次の発展の目標はこのレベルの自然な動きをモトネタ・特殊技能無しでもっと普通の人が生成する、という感じになっていくだろう。


例えば全身で小刻みにリズムを取るモーションを合成する、とか、パラメータを与えることでちょっとした自然な動きをしてくれる、とか、ようするに動きの半自動生成。自然なモーションを実現するためのサポート機能。
そういったことをするためには、体の質量や重力、モーメントなどを計算する必要がでてくるかもしれない。体を動かすと自動的にバランスを取るように姿勢を修正してくれるとかもありか。
なんにせよ、職人ではなく素人がそれに近づけるようにサポートする何かを作る、というのは、俺みたいな考えを持つ開発者なら、この動画を見れば漠然と思うことだろう。
そしてこれに必要な技術・知識とその成果物を考えていると、それは紛れも無く二足歩行ロボットの制御技術以外の何物でもない。
ついでに突き詰めていくと、いずれ空想上の生き物すら、物理的に自然に簡単に動かすことができるようになるかもしれない。
無から有を生み出すコンピューティングの可能性は、そういう方向に広がっちゃってもいいんじゃなかろうか。