知識と技術の偏り

プログラム言語はだいたいどんなものでも、それを使う人の幅は広い。
その言語が柔軟であればあるほど、色んな人が使うだろう。


RubyLisp寄りのオブジェクト指向言語だから、Lisperの人が使うとそっち方面の書き方ができる。
それはそれで便利なのだろうが、俺はLisperじゃないからそういうコードを見てもさっぱりわからない。
Ruby全体をまんべんなく知るという意味では、そういった概念や書き方も知っておかなければならないとは思う。
プログラムをはじめたばかりの人だと、そっち寄りの環境じゃない限りはLispに触れることもなさそうだから、そういう書き方は意味不明なものに映るだろう。
俺基準で具体的に言うなら、lambdaとか、procとか、継続とかがよくわからないものとなる。
そういうものを使いこなしてる人は、それだけでRubyのすごい人に見える。


俺はもともとBASIC→アセンブラ→C→Rubyとメイン言語を移してきている。
基本的にゲームを作る技術を追っているから、言語の使い方もその関連に特化してて、そのくせしてなんで最後がRuby?って感じに自分でも思うのだが、だからこそDXRubyが生まれたわけだし、たぶん時代の流れだ。
すごいゲームが作りたいんじゃなくて、気楽に色々作りたかったから。
Rubyの勉強は本とかは買わずに、主にリファレンスマニュアルとRubyのソース(標準ライブラリのとこらへん)を読んでいた。
だからlambdaはよくわからないが、例えばArray#delete_ifはサイズが小さくなってもreallocされない特殊なメソッドであるとか、変なことは知っている。
現在のRubyユーザーから見たら、たぶんこれこそ特異ってやつだろう。


DXRubyでRubyが本格的なゲーム開発用途に使えることを証明する、その用途で使う人が増える、となるかどうかはわからないが、少なくともその方向を考えるなら、ゲーム用途に使う視点でRubyという言語を捉える人が必要だ。
(俺基準で)難しい書き方ができるRubyのすごい人じゃなく、狭い分野に偏った知識と技術と目的意識を持つ人。
そういう人がRubyのゲーム開発用途の突破口を拓く、と思う。
ぶっちゃけ、そんな人が「Rubyで」という部分に興味を持つかと言われると正直疑問だし、現在のRubyユーザーにいるか、と言われるとこれまた疑問なわけで、俺みたいなのが「Rubyでゲーム」にこだわってるのが不思議というか珍しいというか。
でも可能性はあると思う。
あると思うからDXRubyを作ったんだし、リリースしたのだ。


ゲームを作る目的でRubyを勉強する人や、やたらとそっち方面に掘り下げて研究しちゃう人などが増えるといいな。
Rubyをゲーム用の言語としか見ないような分野が、Ruby周辺にできあがることを望むのは不謹慎だろうか。
RGSSはそれに近いが、やっぱり少し離れている気がする。
もっとRubyコミュニティ内部に根を下ろすような、偏った集団が現れてくれるとおもしろくなる。
例えば、Ruby本体にゲーム用途で性能が上がる最適化パッチを提供するような。
開発陣には迷惑かもしれないけど。